2009年10月19日月曜日

命と芸術の価値

往年の人気歌手が自殺された。やることがなくなった、という遺書があったそうだが、しばらく前から「うつ」だったらしい。一回目の結婚では、病気で奥様を亡くされ、二回目の結婚は、破綻して別れられたそうだ。なんともさびしい、ホテルでの孤独な死である。

病気なので、素人がああだこうだといっても仕方がないが、もったいないと思う。自殺などしなくてもせいぜい20から30年の命であったろうに。長年活躍していて、しばらく見かけなくなった俳優がうつで大変だったとかの話も聞く。

芸能界で名をなして、脚光を浴びてきた人には、思うように才能が引き出せなくなると、憂鬱になるのだろうか。才能を持たないものからはうらやましくも恐ろしい状況ではあるが。

それにしても死んでも花実は咲かない。どんな芸術も命と引き替えにするほどものではない。まして、彼が活躍した音楽という分野では、傑作はちゃんと残っていくのだから。「もう自分ではやらないけど、楽しんでね」といっていてくれればよかったのに。

彼が生み出した音楽の一部しか知らないけれども、私は死ぬまでそのいくつかを時折思い出しては口ずさむことだろう。

かつての仲間のひとりが精神科医だというのも、皮肉だ。最近は話し込むようなこともなかったのだろうか。

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