2009年6月26日金曜日

コメディアンと政治

コメディアンだから政治に向いていないとか、逆に向いているとかいうべきではないと思います。当然ながら、人物次第です。

かつて、コロンビアトップ、西川きよし、青島幸男、横山ノックといった国会議員、知事がおられましたが、一般的な評価はネガティブだったと思います。私も同じです。人気者が世間一般にある政治や社会、生活に関する不満を取り上げて、マスメディア上でぼやいたり、素人政談で権力者を批判してみると受ける、ということはよく分かります。最近政治家の世襲が問題になっていますが、政治家に必要な、地盤、看板、カバンの中の看板を持っているということでコメディアンやプロレスラーはスタートラインが世襲政治家と似て、一般人とはかけ離れています。そのような特権を持っていて、当選できているということを肝に銘じて、謙虚であって欲しいと思います。

最近、大阪府と宮崎県の知事がコメディアン時代の人気を保ったまま、国政に関心、口出しを行っています。二人とも謙虚さが足りない傍若無人な態度が売り物で、私が嫌いなタイプです。テレビではある程度まともなコメンテイターは、新聞などと同様にバランスや客観性などを心がけてコメントしています。一方、コメディアンは断定的、強圧的、大衆受けをする表現で受けをとります。

大阪府知事(法曹人であってコメディアンではないという方もおられるでしょうが、私はコメディアンと思っています)が新型インフルエンザの厚労省のトンチンカンな対応ぶりを変えさせたことは評価したいと思います。

コメディアンが人気を持っていて、国政に出てきても、批判することのみでは野党の遠吠えと同じですし、与党の場合にも親分のいうなりに動くだけでは、政治家として何かをすることはできないわけです。政治をする、政策を作り実現するということは、限られた予算、政府組織、官僚、政府周辺の諸組織の資源を、何に振り向けるかを決めていくことです。何かをするためには何かを止めたり、予算を減らしたりしなければならない、八方美人では何も解決されないのです。利害関係者の調整を行い、時代、環境に則した本当に意味のある政策を進めていく見識と実行力、調整力を持った政治家だけが存在意義があるのだと思います。優れた政治家は、新たな政策で損をする支持者もつなぎ止め、不支持者をも賛同させる力を持っています。自治体の知事や市長は、国政での1議員とは違って、小さいながらも大統領的な権限を持っていますので、政治家としての器量を示すにはよい場だと思います。一方、十分な利害の調整が出来ないでも支持率が高いとかなり一方的な政策も出来てしまうのです。

例の人気があった元首相は、内容の割にやけに支持率が高かったですが、痛みがあっても改革が必要だという政策を実現したのはたいしたものだと思います。この人もコメディアン風の世襲政治家だった。今になって、だまされていたとかいう意見を時に見ますが、政治家や政策を判断する時に、ブーム、バブルであることを十分理解していればだまされることはないと思います。

コメディアンだから政治家としての能力や見識があるとかないとかはもちろん決まらないですが、人気を頼りに一方的に好きなことばかりやられるというのではたまりません。話題の中心にいる2人の知事にはもっと謙虚であって欲しいと思います。

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