メキシコ湾原油流出事故関係のNYT記事(5/10) 暴噴防止装置と原理と今回の事故。今回は事故の10日前に点検していたが働かなかった。動作させるには、船上から指令と圧力を送るのが普通。30秒で遮断される。
船上から圧を送れないときは、BOPのアキュムレータの圧を使う。電気信号も圧力も伝えられない時は"deadman device"が動く。しかし、復旧に時間がかかるのでしばしば動いていない。BPによると4/20の事故では働いていない。
ノルウェーやブラジルではバックアップとして音響信号システムを義務付けている。アメリカでは信頼性が十分でないとして反対がある。今回はあったとしても占められなかっただろう。
陸上では人力でも閉められるが、海底ではROVで油圧を供給して閉める(hot stab)しかない。今回これである程度動いた。BOPが故障した場合には、リリーフ坑井掘削以外には、BOPに泥水を追加で供給する方法があるが、海底でのBOP改造が必要。
hirokuni_oda氏のtweetによると、Science誌でメキシコ湾原油流出事故に関係して,メタンハイドレート関与の可能性が議論されている(http://ow.ly/1JkwH).ケーシングに使うセメントが固まるときに熱を出すが,これがハイドレート分解を促進するとのこと.ただ,ハリバートン社は回避策をとっていたらしい.
ハイドレートがセメンチングでとけて暴噴というのは、18000フィート(5500m)までケーシングが入っていることからほとんど関係ないと思う。油ガス層に達しており、セメンチングを含めてその扱いに問題があったのだろう。水深が1500mなので、海底下4000mの作業中の事故である。
Scienceの記事にあるハリバートンが使った発泡セメントについては、今回の事故の可能性のある原因として議論(油層との遮断に失敗)がある。http://infinitevoxels.blogspot.com/2010/05/55.html
ハイドレート回避のためということでなく、油層とケーシングの間を遮断できなかった、ちゃんとセメントの効果が出せていないということ。セメンチングの失敗、ケーシングの不良、BOPの不良が重なったのだろう。
いずれにしても、事故原因についてはネット上で様々な、素人、自称専門家、専門家の意見が飛び交っているが、現在MMSが専門的な調査をしており、その報告書を待つしかないというのが、昨日聞いた専門家の意見である。
キシコ湾原油流出事故原因について、NYT(5/11)に政府の調査状況の記事。セメンチングに問題があった可能性について、発泡セメントは気泡にむらがあるとガスの通り道になるので難しい。窒素を混ぜたもので、坑底に使うのは一般的でないという専門家も。
坑井にリークが発生すれば、泥水のモニターで圧力上昇がわかるはずだが、なぜ対応をしなかったのか?(次の作業を急ぎ?)泥水の代わりに海水の注入を始めたところ泥水で抑えられていたガスが坑内に流れ込み泥水を吹き上げてリグ上での爆発を起こした。
NYT(5/11)には、containment domeの記事もあった。98tのドームはリーク箇所にかぶせたところ漏れた油ガスの85%を集めたが、予想以上に早くガスハイドレートができて詰まってしまった。今度は2tの小型のハイドレートができにくいコンテナを使う。小さいだけに流出する油の回収率は悪いが、海水が少ないためハイドレートができにくい。
また、EPAがハイドレートの阻害剤としてメタノールをドームへの注入の許可を出した。BOPを一部改造して、ゴムの切れ端などを注入して流出を止める、"junk shot"を来週行う用意をしている。
0 件のコメント:
コメントを投稿