城繁幸さんや池田信夫さんが、正規雇用労働者の解雇規制を緩和し雇用の流動性を高めて、企業の成長を促進することで雇用を創出し、失業を減らすことを提唱しておられます。先日選挙前のTBSラジオアクセスに城さんが出演されました。その日の聴取者の意見を聞くバトルトークのテーマは、雇用創出のための正規雇用労働者の解雇規制の撤廃は有り?無し?という趣旨のものでした。興味深いのは、現在派遣切りにあって求職中という人が、(正規雇用労働者が解雇から守られているから)失業しているにもかかわらず、正規雇用での解雇規制撤廃に反対と主張しておられたことです。その人ばかりでなく全体として若年層を含めて雇用規制緩和には圧倒的に反対が多かったのでした。高年齢層の特権層が反対するのは(正義には反すると思いますが)自然なことですが、若い人もそうだというのは奇妙です。
世の中にどれだけの仕事があり、どのような経済活動があり、金がどこからどこへ回っており、自分にはどれだけの金が回るべきだという感覚が乏しい人が多いのでしょうか。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の格差が広がっているなら、全体の待遇を良くするためには両者の間の条件にするしかないのは自明だと思います。悪い方だけ良くしろといわれたら、雇用者の方は雇う人の数を減らすしかないじゃないですか。道理はわかるはずですが、うまい汁を吸っている奴らがいるのでそれに文句を言うが、平等にしろというのではなく、自分にも吸わせろ、自分だけには吸わせろというさもしい根性になっていないでしょうか。
この問題は世代間格差とパラレルですが、民主党も自民党も高年齢層を支持基盤にしているので、改革が難しいのです。民主党は労組を支持基盤に持っているので、解雇をしやすくするということはいえないでしょう。社民党、共産党も派遣労働の規制をして非正規雇用を減らして、正規雇用にすべしと主張しています。
正規雇用の高年齢層は特権階層であり、その中に入って分け前を得たいということで、休職中の若い人も解雇規制に反対している人がいるのでしょう。現在の年功序列制度は、高年齢労働者の生活保障のために産まれたものです。若年労働者の生活が保障できない社会では、そのまま存続させる必要はありません。企業など職場で十分な役に立たなくなった高年齢労働者は自分の経験や能力に見合った仕事に移るべきで、その仕事に見合った給料を受け取るようにするべきです。
子育てがある高年齢層の経済的負担が大きいので、それを調整する機能を年功序列制度は持っていますが、子育て、教育の費用を公的に保証するということで、年功序列制度から同一労働同一賃金に代えていくべきです。働く意欲がある若年層を放っておいてはいけません。
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