鳩山次期首相が、朝日地球環境フォーラムで講演して、90年比25%削減を目標とすると表明した、ということで、経済界にとまどい、反発が広がっている、という。京都議定書では2008年から12年の間に90年比6%削減を約束しているが、国内削減分は1%にも満たない0.6%程度の見込みで残りは排出権購入などで埋めるのだそうだ。それなのに、2020年に25%ということは、普通に考えれば無理だろう。鉄鋼業を初めとして国内では成り立たない製造業は日本を出て行くしかないのか?しかし、中国やインドに出て行って、そこで同じ程度のCO2を排出していては、温暖化対策としては何の意味もない。設備の更新による改善は見込めるが。
実は、上記講演では、この数値目標には前提条件があるのだ。報道の多く、経済界の反発の多くはこれに言及していない
鳩山氏はスピーチで「我が国のみが削減目標を掲げても、気候変動は止められない。すべての主要国の参加が前提だ」と述べた。念頭には現行の京都議定書で削減義務を負わない米国と中国があった。両国で世界の総排出量の4割を占める。「25%減」は条件付きの目標なのだ。
(http://www.asahi.com/eco/forum2009/news/j/TKY200909080033.html)
つまり、アメリカ、中国、インドなどがこの水準の目標を掲げることが前提ということなので、現実には実現性はまったくないといってもよい。EUは20%削減目標をすでに掲げており、それと協調して世界のリーダーシップを取ろうということらしい。本当の約束をするまでには、実現性についてきちんと検討をしてほしい。
京都議定書では、議論の雰囲気に流されて、実現性のない6%削減という目標を約束してしまった。そのため、排出権を大量に購入して穴埋めをすることになるらしい。何年か後には政権を放り出すことになっても約束をしてしまうと未来に対して大きな負債を負ってしまうことになるのだから、いい加減な約束はしないでいただきたい。
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