2009年10月23日金曜日

給付付き所得税額控除

現政権となって、税制調査会での「給付付き所得税額控除」の検討がなされることになったそうです。
予算編成を中心に混迷を続けている新政権ですが、「給付付き所得税額控除」はリベラル政権、高福祉政権としてはまともな方策だと思います。ぜひ実現して欲しいと思います。

所得税はある程度以上の所得があった人毎に、所得が大きいほど課税率が大きいという累進課税制によって税が徴収されます。給与所得者であるとか、扶養家族があるとか、経費がかかったとかの額を控除していくので、所得が少ない人は課税されません。つまり、所得がある程度ない貧困者は非課税、それ以上あると課税されるということで、課税される集団と非課税集団(主に貧困層)が存在します。

麻生内閣で景気対策の一環として定額給付金が配られましたが、所得減税でなくこの制度になった経緯として、所得減税では貧困層にはメリットがないとして、公明党から所得減税に反対があったのでした。

「給付付き所得税額控除」は税額控除をすると課税所得がマイナスになる従来の非課税集団に給付をするという方式です。給与所得100万円、配偶者、親、子供等扶養家族控除やその他控除額を合計して140万円になれば、現状は非課税というだけですが、-40万円分はその額あるいは定数をかけた額を給付するという制度です。

これによって、ワーキングプアの給与水準の底上げができ、実効的な貧困解消策となります。ぜひとも実現して欲しいですね。

2009年10月19日月曜日

命と芸術の価値

往年の人気歌手が自殺された。やることがなくなった、という遺書があったそうだが、しばらく前から「うつ」だったらしい。一回目の結婚では、病気で奥様を亡くされ、二回目の結婚は、破綻して別れられたそうだ。なんともさびしい、ホテルでの孤独な死である。

病気なので、素人がああだこうだといっても仕方がないが、もったいないと思う。自殺などしなくてもせいぜい20から30年の命であったろうに。長年活躍していて、しばらく見かけなくなった俳優がうつで大変だったとかの話も聞く。

芸能界で名をなして、脚光を浴びてきた人には、思うように才能が引き出せなくなると、憂鬱になるのだろうか。才能を持たないものからはうらやましくも恐ろしい状況ではあるが。

それにしても死んでも花実は咲かない。どんな芸術も命と引き替えにするほどものではない。まして、彼が活躍した音楽という分野では、傑作はちゃんと残っていくのだから。「もう自分ではやらないけど、楽しんでね」といっていてくれればよかったのに。

彼が生み出した音楽の一部しか知らないけれども、私は死ぬまでそのいくつかを時折思い出しては口ずさむことだろう。

かつての仲間のひとりが精神科医だというのも、皮肉だ。最近は話し込むようなこともなかったのだろうか。

2009年10月16日金曜日

前原大臣の手法-政治主導

前原大臣は、八ツ場ダム、羽田ハブ化と、関係者に根回しをせずに、止める、やると先に言ってしまうという手法をとっています。話はわかるが先に関係者に相談してからやればいいのに、といった声もメディア上には多いようです。しかし、前原大臣は、関係者に相談すればやれなくなるので、先に結論を出しているのだと思います。

これが政治主導ということなのでしょう。ダムの地元民も、成田空港関係者も、既得権益を持っているのですから、止める、といえば反対するに決まっているのです。みんなが納得するまで話し合ってと言っていれば決着はできないでしょう。

これまでの(自民党政権下の)官僚政治は基本的に調整型の政治だということです。急変はしない代わりに、坂道をゆっくり転がるように深みにはまっていきます。いわゆる「ゆでがえる」ですね。成田の方が羽田よりよい、という人はほとんどいないはずです。(私などは成田の方が近いのでありがたいのですが、明らかに例外組です。)

それでも、ずるずるときているのは、被害を受けてきた地元や、これまでの経緯を考えれば、すっぱり羽田中心と大きい声ではいえないできたということで、多数にとってどちらを中心にするべきかを、合理的に検討した結果ではなかったためです。実際は国土交通省は少しずつ羽田の拡大、国際線の導入を進めてきていたので、「羽田をハブに」という表現以外は、関係者には周知の事実です。森田知事が驚いて寝られなかったというのは、単なるパフォーマンスでしょう。

政治主導でやるというのは、これまでのしがらみを自民党の責任として切り捨てればよいということにして(民主党が思っている)必要な政策転換ができるということです。国民全体としてみれば、良いことも悪いこともあるでしょうが、しがらみで糊口をしのいでいる業界も、労働者もいるのですから、当事者には気がかりなことですね。

2009年10月10日土曜日

温暖化ガス排出量25%削減!

鳩山政権が2020年までに90年代基準で、温室効果ガスを25%削減を目指すといったことが、評価されたりけなされたりしている。排出量の大きな先進国と、これから大きくなる途上国が全体で合意することが前提であって、まず実現の見込みがないので、どうでも良いと言えばよいことである。

実は、2050年までに50%削減という、これも夢のような目標が、安倍内閣の時に掲げられていたのだが、こちらの方はほとんどだれもまともに良いとも悪いとも言わない。自分に関係ないのでどうでも良いということなのだろう。実は我々の子供や孫には重大事なのだが、40年も先はあの世と同じということなのだろう。

科学教育とか歴史教育というのは、別にみんなが専門家になる必要はないのだが、40年や50年程度の将来までは考えて、自分の日常や、選挙での投票行動に反映させるだけの知性というか見識を持つことを目指して欲しい。

2009年10月2日金曜日

宇宙軌道エレベータの天才

野尻抱介さんの「ふわふわの泉」、アーサーCクラークの「楽園の泉」で知った宇宙軌道エレベータの本が出ている。


「宇宙エレベーター」(2006、大和書房)という本で、著者は、東大助教のアニリール・セルカンさんである。この方は『タイムマシン』(2006年、日経BP社)、『ポケットの中の宇宙』(2009年、中央公論新社)という本も出している。

以前朝日新聞の土曜版の人物を大きく紹介するページで紹介されているのを読んだことがあるが、PDの頃にNASAやJAXAなどでも研究をリードしているダビンチのような若き天才だというふれこみだったと思う。新聞を読んだときの感想は、NASAで認められているなら、東大やJAXAよりそっちで働けばよいのにと思っていた。

最近知ったことだが、学位は東大の建築で宇宙空間での構造物がテーマだそうで、日本語で上記のような本を書くほどのこともあり日本語は堪能なようだ。科学未来館やつくばエキスポセンターなどでのイベントで講演をするなどで活躍しておられる。

それはよいのだが、ネットの噂ではちょっと変わった人らしい。天才であるというよりも、自分は天才のような気がしてしまうという人なのではないか?ある種の妄想癖があるのかもしれない。周囲が気をつけてあげないといけないのではないか。

東大の博士号を持ったその種の人としては、コメディアンのドクター中松さんがいる。東大教授などにもその手の人は珍しくないらしいので、やるべき仕事をちゃんとやっていればとやかく言われることはないと思うが。テレビでよく見る茂木健一郎先生なども、ちょっと怪しいと思う。賢すぎる人は怪しくなることが珍しくないということだと思う。