2011年2月19日土曜日

日産リーフ ユーザーの声

日産リーフのユーザーの声で目に付いたもの、

ツイッターで「shin-inoue」さん、
「日産リーフの充電池。劣化なんて気にしたのは初日だけだった。走行距離は800kmくらい。今は毎回100%充電だし急速充電もガンガン使ってる。今までも車を買うときに売るときのこととかリセールバリューなんて考えたことなかった。w 」

なるほど、リーフを中古で買う場合は注意が必要ですね。電池の劣化具合を正しく評価することが重要でしょう。リーフを補助金をあてにして購入する普通の購入者は6年間は売れないというか、売ったら補助金を返さなければならないわけですが、大丈夫でしょうか。ガンガン使って6年間使えて粗大ごみにならなければいいですけれどもね。

「みんカラ」の「ともお」さん、
「本日の平均電費は11.0km/kWh
なかなかの数値…エアコンOFFとECOモードならばそこそこの航続距離は稼げそう」

ブログに豊富な情報を書いておられてとても参考になります。11km/kWhだとフル充電で264kmということになるのですばらしいデータです。

電気自動車は遠出をすると急速充電をしなければならないために、メーカーが推奨しない急速充電を頻繁にやらざるを得ないことになります。i-MiEVは軽自動車ベースなので遠出をしようという人は少ないでしょうが、リーフは普通の小型乗用車なので、2時間や3時間走るのは問題なさそうな雰囲気があります。ところが、高速道路で100km/hで走れば普通2時間も持たないのです。SAで急速充電を繰り返すことも充電時間、電池の劣化を考えれば、あり得ないことですね。休日1日ドライブというような使い方は想定できません。身近な通勤、買い物専用の、軽自動車のような用途を想定すれば、問題ないでしょうね。

現在のイノベータの方々は、もともと自動車としての実用性に価値を見るというよりは、革新的な技術、コンセプトを体感したいという先進的なユーザーです。コストやコスト/パフォーマンスということは気にしないひとが多いでしょう。

アメリカでは、昨年予約が9,500台になっていたので予約受付を止めていたそうですが、最近予約を再開するそうです。新たに15000台の予約を日産は期待しているそうです。
(http://www.dlegs.com/nissan-opens-up-leaf-reservations-to-the-public/)
これは、いよいよ生産が軌道に乗ってきたということでしょうか。まだ、ユーザーの声が一般的になっていない状態なのに大丈夫でしょうかね。

2011年2月14日月曜日

シボレー・ボルトは(リーフに比べて)高すぎるか?

Is the Chevy Volt Overpriced?
という記事がアメリカABCテレビのサイトに出ていました。
http://abcn.ws/gho94d

シボレー・ボルトは、41,000ドルで7,500ドルの政府補助を含めて33,500ドルで売られているそうです。日産リーフは2万ドル台(32,780ドルで政府補助を入れて25,280ドル)で、HVのイメージをトヨタ・プリウスが作ったように、EVの先駆者としてのイメージをボルトが得るためにはもっと安くする必要があった、プリウス・キラーとなるには3万ドルを切る必要があったのではないかという記事です。

この記事の中で、ボルトより「より柔軟性に欠ける日産リーフ(100マイル走ったら、電池が死ぬ、死ぬ、死ぬ)がEVのマインド・スペースをわけあっている」、「フリーウェイを唯一走れるEVであるテスラ・ロードスター」といった表現がありました。

つまり、性能が劣る安い日産リーフとイメージを共有し、価格的にはテスラの仲間になっている。これは、GMが再建途上で利益をあげなければならないから、あるいは現在のガソリンの価格ではEVで市場を支配するべきと考えていないと推測しています。記事の著者は、GMは余裕のあるアーリーアダプタから得た利益を次の開発に使おうとしているのではないかと推測し、これは市場をリードする機会を逃したと考えているようです。

私の感想は、ボルトは高すぎない、リーフが安すぎるというものです。リーフの価格設定には疑問を持っています。バッテリーの量産効果による将来のコストダウンを組み入れた戦略的な価格ですから、そのためにしばらくの間は量産すると赤字だと思います。そして、コストダウンは日産の希望通りにはいかない可能性が高く、採算がとれるようになるのは何年か先になると思います。なぜなら、リーフのような純EVは現在のガソリンエンジン車に比べて劣る点が多すぎてニッチ向け、タウン・カー、セカンド・カーにしかなりえないからです。

純EVで走行可能レンジを増やすにはボルトやPHVプリウスのようにエンジンを積むしか無いですが、コスト、車重、電費悪化につながります。走行可能レンジを限定して使えば、純EVの利点が活きます。あまりに当然で日産の関係者はそれを承知で頑張っておられるのでしょうが、本当に勝算があって頑張っているのでしょうか?素人の感想で特に読んでくれる人もいないと思いますが、日産はなるべく早くリーフのような純EV普通車を普及させるという方針を変えたほうがよいと思いますね。

日産リーフ オーナーによる走行レポートが続々と

日産リーフの納車がの進行につれて、オーナーの使用記がネット上でみられるようになってきました。
「みんカラ」では
http://bit.ly/fQK5gh
3人の方がレポートを始めておられます。その他に、納車された、まもなく納車という方もおられます。

始めての量産EVを個人で購入し、このような場で情報発信をしようというような人々は、いわゆるイノベータとよばれる層であって、「冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%」(マーケッティング用語集http://bit.ly/394vIL)といわれる商品の実用性よりも新規性を重視した先進的なユーザーです。EVの利点も欠点も理解して、その利点を体験することが購入のインセンティブになっているというわけです。

このようなユーザーの声が日産リーフの成功に大きく関わってきそうで注目されるわけです。これまで、試乗してみて、素早い加速などに好印象を持ったという記事がブログなどでたくさん発信されてきましたが、これはリーフの特徴の一つではありますが、その商品価値の一面でしかありませんでした。使い勝手、コストなどの実際の情報、それもコストなど二の次の法人のものでなく自分の財布で負担するオーナードラバーからの情報が貴重なわけです。

さて、上記「みんカラ」やツイッターでのレポートでは、いずれも電費節約のため寒さに苦しんでいるという声が多いようですが、概ね走り自体は良好のようです。納車後数日で遠出をしてはらはらしたとか、エアコンのオンオフ、高速、上り坂下り坂で表示される推定可能走行距離が大きく変わるとか、興味深い情報が多いです。サービスエリアや役所やガソリンスタンドなどの充電ポイントを探しては急速充電を繰り返して遠出をしたといったレポートがあります。遠出をするためには、そのような方法しかないわけですが、一般論としてはリーフではそのような用途は勧められていないはずです。

想像ですが、リーフで想定されているのは、普段は通勤で毎日10-30km程度使う。週末に数十~100km程度使う。自宅で普通充電を週に1-2回する。急速充電は年に数回、緊急用として行うというようなものではないでしょうか。日産のサイトのQ&Aやマニュアルでバッテリーの耐用年数の質問に答えて言っている、「使用状況によって差はありますが、…5〜10年経過時で70〜80%程度の残存容量を見込」む、「急速充電は最小限に抑える」というのは、このような使い方を想定していると思います。

充電スポットをあてにして遠出をするユーザーが増えてきたら、充電器が塞がっているという状況が増えてきて実用的ではなくなってくるでしょう。今はEV車が殆ど走っていないので施設のオープン時間だけ気にしていればよいでしょうが、いくら急速充電といっても30分かかるので、もし2台待ちなんて状況に遭遇したら、充電器が空くのを待って1時間、自分の充電に30分と待ち時間が尋常ではなくなります。それでは予定を立てた旅行は無理でしょう。

結局、通勤、日常的な買い物で、週に150km程度クルマを使うのみ、充電は週に1回普通充電というニーズには応えられそうです。これは、よくある軽自動車などのセカンドカーの使い方です。このようなニーズでは100万円程度のクルマであれば十分市場性があるでしょうね。現在リーフもi-MiEVもバッテリーのコストは200~250万円程度についていると想像しますが、1/5程度にコストダウンできればよいということになります。もちろんこんなことは当たり前の話で、それができないからどのメーカーも苦しんでいるのです。

日産リーフの走行レポートはメーカーにとっても貴重な情報だと思います。一方で、現在のイノベータ、これからのアーリーアダプタが、遠出をしたり頻繁な急速充電をして、限界を試してくれるのは良いですが、それでかえって多数の潜在的なユーザーに対してはマイナス評価が定着してしまうという心配もありますね。

2011年2月12日土曜日

ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー候補に日産リーフが入った!

World Car of the Yearというものがあり、
http://bit.ly/hu4UyZ

次の10車種が候補になったそうです。日産リーフが入っており、ライバル?のシボレー・ボルトが入っていないというので、ニュースになっています。ドイツ車など欧州車が多いですね。実用性に?がつくリーフが入っていることから想像できるのですが、良いクルマというよりは話題になったとか目新しいクルマを選ぶのが趣旨なのでしょうか。全部高そうで縁がないのが個人的には寂しいです。

Audi A1
Audi A8
BMW 5 Series
BMW X3
Jaguar XJ
Jeep Grand Cherokee
Mercedes-Benz SLS
Nissan LEAF
Porsche Cayenne
Volvo S60 / V60

2011年2月11日金曜日

三菱 i-MiEV アイ・ミーブの運用情報など

i-MiEVを通勤を中心に6ヶ月使ってこられたくまさんというオーナーの方の運用情報がありました。(2ちゃんねるの書き込みで知りました。)
http://blogs.yahoo.co.jp/fumiokuwabara/folder/955669.html

ヒーターが5kWの消費電力でこれをフルに3時間使うと、フル充電したとしても走行可能距離が65km程度に減ってしまうとのこと。3時間で残量計の6-7目盛り(全体で16目盛り)消費するらしい。通常の走行可能距離は130km程度とのことです。シートヒーターであれば40-50W程度ですむ、これが必須とのことです。

くまさんのi-MiEVは初期トラブルで電池の全交換を行ったとのことですが、量産して1年以上たったといっても従来のエンジン付きの車とは全く違うEVではある程度のトラブルは予想の範囲でしょう。

日産はリーフの発売において、i-MiEVのようにまず少量の生産をおこなって、トラブル対応がしやすい法人向けやリースでの販売で様子をみるという常道を選ばず、いきなり一般向けの販売を始め、生産も年産5万台の規模で始めました。現実には10月から生産したはずなのに、生産が予定通り進まず、1月末で1000台未満の販売にとどまりました。生産能力の問題に加えて、これから数多くの多様なユーザーによる運用が進んでいくと様々なトラブルが出てくるはずです。事故も起こるでしょう。ガソリンを積んだ自動車の事故も悲惨な事になることも多いですが、EVによる事故はまた違った危険があるでしょう。事故の際の感電や電池の爆発の可能性については、どの程度危険なのか完全には予測出来ていないと思われます。

日産リーフの社会や市場からの評価がでるのはしばらく先のことでしょうが、厳しい物になると推測されます。

2011年2月10日木曜日

電気自動車購入補助金について

電気自動車EVには国から補助金が出ることはよく知られており、購入を検討している人は当然それをあてにしているはず。22年度日産リーフは6000台の生産を予定しており、補助金はそれに応じた予算が組まれているはずですが、私は実情を知りませんでした。2ちゃんねる「電気自動車総合スレ その19」で以下の書き込みがされていたのを見ました。

---ここから---
2011/01/25(火) 22:33:24 ID:k5/jjM4U0
平成22年度のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策事業予算は137.0億円。
電気自動車とプラグインハイブリッドに対する予算が123.7億円で、天然ガス自動車やクリーンディーゼル自動車への予算は13.3億円。

このうち、i-MiEVが114万円×4千台=45.6億円、リーフが78万円×6千台=46.8億円という計画だったけど、i-MiEVが計画通りには売れていないので予算は余っている。

第1~4回の公募による決定額は、電気自動車が19.7億円で急速充電器が4.3億円。
---ここまで---

今年度の補助金募集の書類は以下の通りで、電気自動車、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車及びクリーンディーゼル自動車を対象に、総額で137億円は上記書き込みどおりです。原則通常車両との価格差の2分の1以内。補助予定台数約10,000台。

http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1002/100205a/CEV.pdf
電気自動車、プラグインハイブリッド自動車及び充電設備に関する事業:約12,371百万円(うち、業務管理費:約123百万円)と書かれていて、上記情報の補助金額の計画とちょっと違うようです(1万台は天然ガス自動車等も含めた台数)。

i-MiEVの販売数は月平均170台程度で、22年度中に2千数百台程度でしょう。実は、今年度予算で補助金を受けるためには3月3日までに車両登録、本体代金支払いが完了する必要があり、3月8日までに実績報告ができなければならないのです。補助金関係の詳細は、この補助金を扱っている一般社団法人次世代自動車振興センターのサイト(http://www.cev-pc.or.jp/NGVPC/subsidy/index.html)に資料があります。リーフの場合6千台の予約車全部について今年度の補助金を受けるのは難しいでしょう。予算が不足する心配はなさそうです。

さて、4月以降2011(H23)年度どうなるかですが、下記資料のように、
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/2011/pr/doc_prene018.pdf
2011年度予算では303.8億円が計上されていますので、新年度の電気自動車購入者に補助金が出ないということはないようです。電気自動車、プラグインハイブリッド車関係の電気自動車棟導入促進事業費は283億円で、補助率は通常車両との価格差の1/2以内、ということで2010年度と同様ですし、総額から見て台数の増加も予定しているようですから、一部でふりまかれている補助金がなくなるという噂のような心配は不要でしょう。

神奈川県など自治体によって、国の補助金に加えて独自に追加する補助金制度があります。

現在販売されている電気自動車の実用性に疑問を持っている私としては、これらの補助金を受けて電気自動車を購入される方は、補助金が他の国民の税金から出ていることを自覚して活用していただきたい、そして電気自動車が実用的になるように使い勝手に関する諸情報を発信して、社会やメーカーにフィードバックして改良に協力していただきたいと思います。

自動車の将来

日産リーフや三菱i-MiEVアイ・ミーブの現状を調べてみると、やはり電気自動車EVというのは一定の魅力はあるものの現在の自動車の状況をガラリと変えるような商品としてのパワーはないと思います。倉庫の中のフォークリフトはすべて電気自動車ですね。適材適所ということです。

2ちゃんねるや価格コムなど匿名の掲示板では、電気自動車に関して、しばしばこれからはEVの時代だ、EVはまだ力不足だといった議論がされていますが、現在のEVを語るのに石油がなくなった後の時代を語ったり、電池技術がブレークスルーを行うことを前提にしたり、印象や好みに基づいたトンチンカンな議論が目につきます。もちろん中には技術を分かっている人の書き込みもあり、それは参考になります。トンチンカンな記述は、世の車好きという人たちでもこれほど勘違いしているのかと再認識するうえでの参考にはなります。なるほどこのような考えを持っていれば、実車を見ないで300万円の日産リーフを私費で予約して購入するというという(私には理解不能な)勇気を持つ人が少なからずおられることも理解できます。

実は、トンチンカンな議論は「自動車評論家」の看板を出している人にも珍しくないのです。電気も、資源動向も、環境問題も半可通のままで、印象に基づいた主張をする人がとても目立ちます。また、自動車メーカーは(言いたいことしか言わないという企業として当たり前のことですが)情報発信をコントロールしています。自動車業界周辺で食べているメディアなどは、メーカーと二人三脚で動いているので、メーカーが嫌がることは言いません。一般メディアもメーカーのCM料に強く依存している限り、業界メディアと同工異曲となりますが、これも当たり前です。

結局、科学と事実に基づいて自動車技術、自動車社会の将来を語れる論者が貴重ですね。私が信頼しているブログサイトは以下の2つです。
1)安井至 市民のための環境学ガイド
2)Cordia blog Think about Future Mobility

1)安井先生は、環境化学がご専門ですが、いろいろな事象を科学的に分析して意見を発信しておられます。自動車に関しての造詣も深く、信頼できると思います。

2)Cordiaの八重樫さんは、トヨタ・プリウスの開発の中心人物であった方です。その情報発信については、トヨタに不利なことは言わないだろうと色眼鏡でみる人もいるでしょう。しかし、記事を読めばわかりますが、自動車技術に誠実で、資源環境の課題に対しても視野が広い発信を行われている素晴らしいサイトです。自動車に関しては、現在の技術と今後の予測をまともにすれば八重樫さんのような見方になると思います。