2009年8月21日金曜日

GM シボレーボルト大丈夫か?

シボレーボルトは、プラグインハイブリッド車であるけれども、エンジンは発電専用でバッテリーのエネルギーが少なくなった時に動き出します。(JAFmateというJAFのサイトの記事で、ボルトはバッテリーが空になると停車してエンジンを回して充電しなければならないと書かれています。いくらなんでも、それでは商品としてはあり得ないので勘違いと思いますが、エンジンを回して走りながらどの程度充電出来るか、どの程度の走りができるかということは興味深いです。)出力は、1.4Lのガソリンエンジンでは53kW(71hp)で、モーターの方は120kW(160hp)だそうですから、充電しながら走るときはバッテリーで走る時より、かなり苦しくなるのではないかと思います。

ボルトはリチウムイオン電池を使いますが、最低温度を0℃以上に保たなければならないので、それ以下になったらエンジンで起動して暖めてからバッテリーを使うそうです。

本当は、EVとして走れる距離で用事が済む場合はエンジンは無用の長物です。一方、何かの都合でバッテリーで走れなくなってしまった緊急時や、たまに遠出をしたい場合には、頼りになります。普段は通勤でEVのみ、週末に買い物やレジャーで遠出という家庭用で想定されるニーズでは、週末のみエンジンを載せて走るように選べれば良いですね。安井至先生は未来の理想的な自動車はボルトのようなEVで、必要なときは発電機を引いてシリーズハイブリッド車として走る形を予想しておられます。

私もそのような時代が来るかもしれないと思いますが、ガソリンや軽油を使うメリットがなくなるまで、EVが主流になることはないし、必要もないと思います。プリウスのようなプラグインハイブリッド車が実用的で温暖化対策としても合理的な水準のものでしょう。

シボレーボルトは、4万ドル程度の価格で売り出すといっていますが、軽自動車ベースの三菱iMiEVもそのくらいの値段(460万円)ですから、技術革新があったのかもしれませんが、技術革新を期待してのものではないかと思います。価格の大半はリチウムイオン電池なので、ベース車両価格はそれほど大きくはかわらないともいえますが。ボルトの電池は170kgあって、16kWhの充電が出来ます。これだけで64km走ることが出来るというわけです。車重は発表されていないですが、3,500ポンド(1.59トン)と推定されています。iMiEVは車重1.08トンで、ボルトと同じ16kWhの容量で200kgのバッテリーを使って、走行レンジは10.15モードで1充電走行距離160kmだそうです。ボルトの走行レンジがかなり少ないのは、車重と空力特性の差なのでしょうか。日産リーフは24kWh、走行レンジはUSLA4モードで160km以上だそうですが、車重等は不明です。ボルトとiMiEVの中間的なサイズでバッテリー容量が大きいので、1.4トン程度でしょうか。

日産のリーフは、純粋EVなので、バッテリーが空になったらどうしようもありません。急速充電スタンドができたり、コンビニなどで充電できるようになっても、急速充電でも30分かかるといわれています。現在のガソリンなら5分で給油できるので、用事の途中でもそれほど問題になりませんが、比べようもないほど実用性が低いと思います。スタンドの方も1台あたり30分場所を占められるので、都会では立地が難しく非常に高くつくでしょう。バッテリーはリースにするそうですが、価格的にもあまり競争力があるものになるとは思えないですね。バッテリーが200万円とすると、5年間のリースでは年間40万円(+金利)、ガソリンなら4000L程度40000~80000km走れます。電気料金はガソリンよりかなり安いですが、元を取れるのは相当長距離を走るタクシーや営業車だけでしょう。家庭用としての実用性は今のところガソリン車やハイブリッド車とは比較になりません。

もちろん、バッテリーの耐久性が5年から10年、量産効果でコストが何分の1かに下がればよいのですが、いまのところそんなあてはないと思います。

GMも日産も本当はこのような未完成な車は自家用車としては商品とは考えていないと思っています。三菱のように、自治体や企業向け専用で売り出して、問題点を解決しコストダウンの見込みを付けてから、市販をするというのが正攻法でしょう。それをしないで、来年末や再来年に夢の車を売り出す、といった宣伝をしなくてはならないのが、未来戦略を語れる技術、商品がないという両社の窮状を示していると思います。

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