2009年7月11日土曜日

小話「ボーアと気圧計」について

”404 Blog Not Found”という有名なブログで紹介されていた、「ある物理学生の回答 「気圧計を用いて,高い建物の高さを決定することができることを示しなさい」」という問題の話です。
http://www.asahi-net.or.jp/~HA4K-MYZK/jyugyou/studentanswer.pdf

横浜物理サークルの宮崎幸一先生が、「高等教育フォーラム」で落合栄一郎さんという在米の先生が英語で紹介しておられたものを翻訳されたということです。2001年の記事のようです。元の英語の記事は見つかりませんでした。

さて、この話は、ラザフォード先生が語る、気の利いた回答をした学生がニールス・ボーアだったという落ちにしてあり、天才の学生時代のエピソードとして面白い小話です。

上記ブログの筆者の小飼さんが、Yahoo Answers、snopes.comの記事を引用して、「学生はボーアでなく、誰かというとAlexander Calandraという人だったようです。」と書いておられます。

しかし、引用されている記事には、1958年にReader's Digestの小話に出ていた話があり、Calandraさんがこの話を1961年に自分が書いた教科書に書いており、その後68年にSaturday Reviewという雑誌に、回答のリストをCurrent Scienceという雑誌に書いていると書かれていて、事実あったことかどうかはわからないと書いてあり、Calendraさんがその学生だとは書かれていません。

snopes.comの記事によるとCalandraさんの教科書は”The Teaching of Elementary Science of Mathematics”と書かれています。Google Booksでこの題名の検索をすると、出ていません。一方Calandraで検索すると、この教科書が引用されている本が引っかかりました。ただ引用されている書名が少し違ってい
て、”The Teaching of Elementary Science and Mathematics”が正しいようでした。たしかに、数学の科学とは普通いいませんね。

2冊の本で引用されているのですが、一つは1994年に出た化学安全管理の本で、上記教科書の1969年(改訂版?)の記事に基づいて書かれていますが、その記述は上記宮崎先生が訳された記事とそっくりです。ただし、GoogleBooksでは話の途中で非公開のページになってしまっています。Calandra先生がラザフォード先生
の役であったようです。

もう一つは1994年に出たCプログラミングの本で、こちらには1961年の教科書の記述を引用してあるようで、上記記事とは書き方が少し違います。そして、Sun社内でジャンクメールで"科学パズル”として出回り、新しい方法が16寄せられたとして紹介されています。

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