2009年6月16日火曜日

誰が電気自動車を殺したか?

誰が電気自動車を殺したか?というドキュメンタリー映画があるそうです。見ていないので何か言ってもあまり説得力がないですが…

GMが90年に開発製造して97年からリースしていたEV車の製造を2003年に止めてしまった原因を、ガソリン車が無くなると困る石油業界による妨害によるものだと示唆して、そのような妨害がなければGMは環境先進的な車メーカーとして君臨していた可能性があるといいたい話のようです。速い、静かといったすばらしい性能で、映画俳優などのセレブに人気があったのに、GMが止めてしまったのは陰謀のせいだ…

ネットでこの映画についてふれているブログなどを見ると、判で押したように石油業界の圧力で、10年以上前にすでに実用的で人気があったEVを葬ってしまった、と納得しているものばかりです。そんなはずはない。ブログなどで語られているような内容なら、この映画の主張は全くのトンデモです。明らかに実用的でなかったからこそ消えたのです。

最近三菱が世界初のEV車の市販をするというので話題になっていますが、20年近く前のEV1はまともな電気自動車であったのでしょうか。高すぎて市販できずリースをしていたEV1は市販すると困るほど、100kmから200kmしか走れない、数年で電池の寿命がくる、何倍も値段が高いといったエンジン車ではありえない欠陥品だったはずです。

電気自動車が速く静かに走ることができるというのは当たり前です。慶応大のEliicaという8輪のスーパーEVは走行性能はすごいらしいです。小泉元首相が試乗して喜んでいた報道がありました。3000万円くらいで市販するそうです。Ellicaのような車は世の中にはあまり関係がありません。エコカーでも未来の車でもないです。

映画も見ていないし、EV1も見たことが無くても明らかで、EV1が実用的でなかったのは電池技術が未熟だったからです。EV1は当初鉛蓄電池、次にニッケル水素電池を積んでいました。この7月から市販されるという三菱のi MiEVは軽自動車がベースで、リチウム電池を積んでおり、460万円で、フル充電で100km程度の走行距離だそうです。他人の金で買うことが出来る法人、官庁で実験的に使うのは良いでしょうが、個人で使うには1/3以下のコストになるまでは無理でしょう。それも2台目、3台目の買い物用、近所用専用の車としてです。

電気自動車の技術はEV1以前からありましたが、エンジン自動車に対抗できるような実用的な電気自動車は、これまでにはありませんでした。三菱の電気自動車も大衆が買うようになるまでには10年以上かかると思います。石油業界の妨害など無くてもEV1が勝ち残るチャンスがなかったことは間違いないと思います。

トヨタのプリウスは新しい3代目もニッケル水素電池を使っています。リチウム電池の方がエネルギー密度が高く性能は高いのですが、ノートPCのバッテリーが発火事故を起こしたように製造、管理が難しく、自動車のような悪環境で使う場合にはまだ信頼性がよく分かっていないと想像するのですが、三菱は大丈夫でしょうか。

三菱のi MiEVは5年くらい先には量産効果で黒字にしたいそうです。補助金が140万も出て300万程度で買えるそうですが、300万の使いにくい軽自動車が売れるとは思えません。5年も持たずにあきらめるだろうと予想しておきたいと思います。140万の補助金は無駄遣いと思います。

プリウスは市販されるようになってから10年以上たちますが大きな問題もなくやってきました。これは本当に大変なことだと思いますね。十分な台数の製造ができて、今の価格で利益が出せるのなら、これから10年くらいは乗用車の市場はハイブリッド車中心になるのは間違いないと思います。

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