2009年6月30日火曜日

ケープタウン、喜望峰

12年前に、調査航海のためにケープタウンへ行きました。
シンガポール、ヨハネスブルグで乗り換えて、20時間くらいかかったと思います。ケープタウンの港で調査船に乗り、その後調査をした後はチリのバルパライソで降りて、マイアミ、ロサンジェルスで乗り換えて、日本に帰りました。世界一周したわけです。このときは西回りだったので、80日間世界一周の人と逆で日数は1日少なくなったのでした。もちろん移動中の1日の時間が長いからですが。

ヨハネスブルグでは入国審査に時間がかかりあわててやっと乗り換えに間に合ったという感じでした。入国審査というのはどの国もそうですがやたら時間がかかる時があり、窓口が少ない場合には本当にいらいらします。多くの人を長時間待たせているのにのんびりと動いている係官を見ると怒りたくなりますが、にらまれて入れなかったらばかばかしいので皆羊のように従順です。犯罪者がときどき混じっているということはあるでしょうが、単なる一時的な旅行者にはいらだたしく感じられますね。入国審査は現在のEUではどこもとっても簡単で速い、ただしイギリスはとっても遅い、アメリカの場合は審査はちゃんとやる方ですがほとんど列のコントロールがされているので極端に遅くはありません。

一行は10人くらいだったと思いますが、ケープタウンの空港から港までは、旅行社手配の大型バスで異動しました。その日は土曜か日曜で、道路も空いていて、町も人気があまりありませんでした。面白いことにバスにはバスの運転手の10才くらいの息子が乗っていました。休みだからお父さんの仕事に着いてきたという感じでした。

ケープタウンの港は、その頃世界各地で進んでいたウォーターフロント開発が行われて、しゃれた店やレストランがたくさん集まっていて多くの家族連れでとてもにぎやかでした。その頃シドニーに何回か行きましたが、シドニーのウォーターフロントと似ています。

船は補給のために3日ほど入港していて、我々は入港日に着いてそのまま乗船しました。入港中には日本から乗ってきた船員などと一緒に、テーブルマウンテン、喜望峰に見物に行きました。

テーブルマウンテンはケープタウンの町の南にそびえていて頂部が真っ平らで、港から見ると本当に絶景です。近代的なロープウェイ(Cableway)で頂上まで行けて、上から見るとまたすばらしい眺望が得られます。

喜望峰までは、バスで途中のワイナリーによって、海岸でペンギンを見てから行きました。岬の先の方には人かがほとんどなく、ずっと草原の中をひたすら進み、途中で野生のダチョウを見たりしました。先端に行くと土産物屋もあってその駐車場の先に展望台があって、10分近く歩いていったと思います。展望台からは岩場が見えて、聴いたことはないですがワーグナーの「さまよえるオランダ人」に出てくるらしいです。幽霊船がこのあたりに出ていたという話ですね。アフリカ最南端のような錯覚をしますが、地図で見るとよく分かりますが、喜望峰は別にアフリカ最南端ではなく南西に突き出ているだけです。

さて、ケープタウンは日曜に街中を少し歩いたら、ビルが建ち並ぶダウンタウンにほとんど人気がなく怖かったのを覚えています。また、バスで移動中に何カ所か難民キャンプがあり、かなり広いところでおそらく数千人以上がすんでいそうでした。内陸の農民が飢饉があって町に出てきて、働くところもなく戻ることも出来ないということらしいです。一方、海岸近くには瀟洒な豪邸がいっぱいあって、どの家も高い塀で囲まれていて、その塀には申し合わせたようにセコムのようなセキュリティのシールが貼ってありました。国全体としてはかなり豊かですが、貧富の差はとにかく激しいです。

その後、何ヶ月かたって日本の新聞で、ケープタウンのウォーターフロントで爆弾テロがあったというニュースを見ました。南アフリカに行ったのはこの1回だけですが、美しい自然、豊かな国という印象と、恐ろしいというイメージが残っています。今度ワールドカップが開かれますが、事故や事件がなければいいですが心配ですね。

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